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田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
米国のトランプ大統領が5月25日から28日まで、3泊4日の日程で日本に滞在し、令和(れいわ)最初の国賓として精力的に過密スケジュールをこなした。天皇、皇后両陛下は、トランプ大統領と会見されたことで、新しい令和の時代における親善外交のスタートとなった。
また、安倍晋三首相との協議では、北朝鮮情勢や首相のイラン訪問といった外交問題や、2国間貿易交渉の事実上の先送りなどが話し合われた。中でも、北朝鮮の拉致問題に関して、被害に遭われている家族の人たちと2度目の面会をしたことが注目される。
日本では、トランプ批判を好む人たちが、人権を重視すると自称している「リベラル」に多い。しかし、トランプ大統領の拉致問題に対する関心は強く、また持続的なものといえる。
それは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との2度の首脳会談で、拉致問題を議題にしたことでもわかる。「人権」を振りかざすことはないが、そのアプローチは、口先だけの人権派とは異なる説得力を有する。
むしろ、日本の「自称リベラル派」の方が、意見の「多様性」を認めず、相手が自分にとって認められない反応を少しでもすれば、徹底的に排除していく姿勢を見せていないだろうか。政治学者で大和大講師の岩田温氏はこの現象を「偽善者」特有のものとして強く批判している(
『偽善者の見破り方』イーストプレス)。
また岩田氏は、トランプ大統領と民主党政権時代の鳩山由紀夫元首相を比較している。トランプ大統領は、個人弁護士で元腹心のマイケル・コーエン被告が議会で証言した「(トランプ大統領は)人種差別主義者で、詐欺師で、ペテン師だ」という酷評を紹介した上で、岩田氏はむしろこの種のありがちな評価よりも北朝鮮外交におけるトランプ大統領の現実感覚を高く評価している。
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