3. 被曝の形態とその防護

放射線は、放射線物質(放射線源)あるいは放射線発生装置より発生する。放射線源が密封線源の場合、被曝は身体の外部からの被曝である外部被曝だけであるが、非密封線源の場合、外部被曝に加えて身体の内部に放射線物質が入り込むことによる被曝である内部被曝も考慮しなくてはならない。

外部被曝

外部被曝として問題になる線種はガンマ線X線ベータ線中性子線、これら放射線を防護する方法には次の三つがある。

密封線源の三原則
  1. 線源と人体との間に遮蔽物を置く(ガンマ線、ベータ線、中性子線かで遮蔽物として効果的なものは異なる)
  2. 線源と人体の距離を大きく取る
  3. 放射線を受ける時間を短くする

内部被曝

放射性物質が空気中などに拡散して存在している場合、その放射性物質が体内に入り込むことによる内部被曝の恐れが生じる。そのため、内部被曝については放射性物質を体内に取り込まないような防護が基本となる。体内に取り込まれる経路としては、次の三つがある。

非密封線源が体内に取り込まれる経路
呼吸器を通しての摂取(吸入)
放射性物質で汚染した空気を吸い込むことによって、気道や肺胞を通して体内に放射性物質が侵入することを言う。マスクの着用などで防護できる
口、消化器を通しての摂取(経口摂取)
放射性物質で汚染された水や食物を摂取することで、胃や小腸などの消化管から体内に放射性物質が侵入することを言う。基準値を超える放射能を持つ食品を摂取しないことで防護できる
皮膚、特に傷口を通しての摂取
皮膚の毛穴や汗腺または皮膚にある傷から放射性物質が侵入することを言う。放射性物質と接触する皮膚表面に傷があるときは、放射性物質の取り扱いを避けることで防護できる

内部被曝の特徴

内部被曝をした場合、すなわち一度体内に放射性物質が取り込まれた場合、その取り込まれた放射性物質を除くには、物理的減少(放射性崩壊)と共に生体機能の代謝による排出を待つよりほかない。

体内に取り込まれた放射性物質がどのように振舞うか(体内のどの部位に沈着するか)は、その元素の化学的性質によって異なる。

例えば、ヨウ素は選択的に甲状腺に取り込まれ沈着する。アルカリ土類金属であるストロンチウム中の同じくアルカリ土類金属であるカルシウムと置き換わって体内に蓄積することが知られている。一方で、カリウムやセシウムは水に溶け込み全身の細胞内に広がる。このように、放射性物質の種類によって体内に摂取された後に存在する場所が変わる。

体内に入ってしまった放射線物質を検査する一般的な方法として、によってガンマ線を測定・分析する方法がある。しかし、これはガンマ線が人体を透過することを利用したものであるため、ガンマ線を出さない核種の測定は不可能である

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